なぜむくむのか?

<リンパの会機関紙 ながれ 2001年8月より抜粋、編集しています>

 特に若い女性では足のむくみなどを気にする方が多く見られます。
 「夕方になると脚が向くんで太くなる」、「手足がはれぼったい」などですが、その多くは病的なものではありません。病的なものと健康な方のむくみとの区別は一概にできませんが、以前からむくみやすいとか、翌朝には消えるものはとりあえず病的でない事が多いでしょう。病的なものとしては心臓や腎臓などの異常によるものがありますが、正確には一度内科などで検査をして頂いて下さい。ここでは健康な方に見られるむくみ(浮腫)、特に女性がなぜむくみやすいのかに重点を置いてお話しします。

なぜ、むくむのか?

 人間はもともと動物で、四つん這いで生活していました。(右図)心臓や動脈、静脈などの血管も、這って生活するには適するようにできています。四つん這いの状態では、心臓は頭や腕、脚の方向に楽に血液を押し出す事ができます。そして頭や手足の先に行った血液は、静脈を通って結構スムーズに心臓に帰ることができます。頭部へ行った血液は下の方の心臓に向かってすんなり流れて帰ってこれますし、前脚や後脚に流れた血液も、何とか腕や脚の付け根まで戻る事ができたら、後は水平方向に流れて心臓に向かえば良いのです。
 ところが人間は立ってしまいました。(左図)そのため心臓は血液を押し出すことはとりあえずできますが、脚の下の方に流れていった血液を重力に逆らって心臓に戻すことはとても大変です。
 脚の下の方には静脈血がうっ滞してしまいます。そのため、脚の静脈圧は上がり、血管内の水分は血管外に向かって押し出されるように働き、これがむくみとなります。
 とくに足首には、心臓からの水の重さ(血圧計の水銀柱で80mmHgの圧)がかかるとされています。
 では、多くの方がむくまないのは何故でしょうか?
 それは、脚の下に溜まってくる静脈血を重力に逆らって心臓へ戻す働きによるものです。
 立っている時に、脚の静脈血を心臓へ戻す最も大きな力のひとつは「ふくらはぎの静脈ポンプ」で、これは脚を動かす事により、ふくらはぎの筋肉が静脈を刺激し、静脈内の血液を心臓へ向かわせます。もうひとつの力は、「心臓が静脈の血液を吸引する」働きです。
 これら主な2つの力によって体の下の方にある脚の静脈血は心臓に戻ります。
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